村上春樹 「鏡の中の夕焼け」に思う

村上春樹氏の「象工場のハッピーエンド」に収められた作品の一つ。
短い作品ながら印象的で、不思議な余韻を感じた。

  


バザールで愛する妻としゃべれる犬を交換したり、所蔵図書はまさかの1963年版の造船年鑑だったりと、ツッコミどころが満載だ。
このしゃべれる犬というのが曲者で、知性が高く、ロマンチストときている。
若いときは見世物小屋に出ていたらしい。
なぜか主人公に対して上から目線で、惨めな人間と決めつけたり、侮辱的な発言が可笑しい。
主人公もそんなしゃべれる犬に対し癇に障ったのか、ひそかに復習を企てる。
しかししゃべれる犬はある作り話を主人公に聞かせて、あやうく難を逃れることに成功する。

自分も綺麗な月は好きだし、夕焼けはいつまでも眺めていたくなる。
一昨年に沖縄で見た夕焼けは素晴らしく、ずっとこのまま見ていたいと思ったものだ。
そんな世界の中を彷徨い続けることになったとしても、悪くない気がする。